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「大東亜戦争は、アメリカが悪い」の著者・鈴木敏明氏から話を聴く  (2005/5/11)

10日夜、新現役ネットの「新近代史研究会」に出席、「大東亜戦争は、アメリカが悪い」の著者・鈴木敏明氏の講演を聴いた。著者は、日米対決の根本の原因は、欧米諸国による対日経済封鎖だと述べた。そして、この件について知らないはずのない半藤一利著「昭和史」が全く触れていないのは不可解。さらに、中央公論社発行の『世界の歴史』の第25巻『アジアと欧米世界』(加藤祐三・川北稔著)も、日清戦争については詳述するが、日露戦争については本文中で1行も触れてないと付け加えた。

ボクは、書店に出かけて『世界の歴史』を調べた。確かに全30巻のどこにも『日露戦争』の記載はないようだった。日本の国運を賭けた戦争、黄色人種が白人に勝利したということで、世界にショックを与えた戦争の存在を隠蔽するとは・・・・。日本悪玉史観は、自分に都合の悪いことは隠すクセがある。

ボクも、日本が、日露戦争に勝利して以降、アメリカの仮想敵国にされ、戦争に追い決まれていく歴史を、数年前、某団体の機関紙(当時40万部発行)に連載した。以下は、その中の、対日経済封鎖に関する部分である。

「大東亜戦争は、アメリカが悪い」の著者・鈴木敏明氏から話を聴く  (2005/5/11)_b0048558_22303876.jpg■武器なき戦い、貿易戦争が大東亜戦争の原因の一つ
欧米諸国による植民地獲得競争は、大正の終わり頃までにはほぼ完了していた。アジアで餌食にならなかったのは、日本と現在のタイの二国だけという、徹底ぶりだった。天然資源の少ない日本が先進国に追いつくためには、欧米諸国との貿易が必要不可欠であったが、自らの支配地に工業製品を輸出していた先進諸国にとって、日本の登場は、その市場への「侵略」と見なされた。

日本の輸出攻勢に対して、欧米諸国とその植民地や属領は、厳しい輸入規制をかけていった。一国の対日輸入規制は他の国にも影響を及ぼす。日本は追われ追われて、ついには外貨を稼ぐ市場すら探すことが出来なくなった。武器なき戦い、貿易戦争は、大東亜戦争の原因の一つとなった。アメリカと中国における対日ボイコットについて紹介する。

■文字どおり、真綿で日本の首を絞めたアメリカ
日本は開国以来、対米貿易を着実に伸ばしてきた。発展途上にあり、経常収支の入超に悩まされ続けた日本にとって、アメリカは最も頼りになる海外市場であった。ところが、大正中期から、日本の生糸を原料とした服や靴下を身につけまいという対日ボイコット運動が始まった。 
 
当時、生糸は対米輸出の約83%を占めており、生糸がもたらす外貨が、日本の工業化に必要な機械や原料の輸入を可能にし、日本の経済発展を支えていた。しかし、生糸に対する輸入規制は次第に強化され、昭和5年には、かってのほぼ3分の1にまでに激減、日本全体を震撼させた。養蚕農家は大打撃を被り、自殺者や娘の身売りなどの悲劇が続出した。
生糸以外の対米輸出も伸びなかったから、大幅な入超へと転じ、日本の貿易収支は急速に悪化した。

■対中貿易は、ゼロにまでエスカレート
中国もまた、日本が最も頼みとする市場の一つであった。大正年間は、日本の総輸出の約20%を吸収し、一方、中国からの輸入は、日本の総輸入額の約12%を占めていた。対中貿易の黒字は、日本の対欧先進工業国との貿易収支の赤字の補填に充てられた。 対日ボイコット運動は明治末期から始まっていたが、大正4年(1915)、日本の21カ条要求の最後通牒を中国政府がのんだ直後から活発になった。
 
政府が日本の要求を受け入れたことを民族的恥辱と受け止めた学生がボイコット運動を先導したが、昭和に入ってからは、国民党がリーダーシップをとった。すべての日本製品の輸入が禁止され、中国人が日本人の工場や家庭で働くことさえ禁止し、これに背くものは売国奴として死刑と私有財産の没収を含む厳罰をもって当たった。
 日本の新聞・雑誌を読んだり話題にすること、私的にも公的にも日本人を訪問したり招待したりすることも禁じられたから、日本商品の取引は完全に機能を停止してしまった。

■救国の思いが軍部と大陸拡大主義者の台頭をうながした
昭和初期からこの時期まで、日本は世界中から貿易上の差別を受け、経済的に追いつめられていったのだが、その原因のひとつが、現在でも同じことがいえるのだが、国際社会において困難に遭遇した場合に、日本の立場を積極的にアピールし、世界の理解を求める努力にかけていたことだ。その点、中国のエリート層の多くは米国留学組だったから、学生や華僑を通じてボイコットによる対日制裁を訴え、米国の知的指導者層の同情と支援とを得ていた。
 
日本の貿易不振は農民の飢えとなり、その窮状から脱出したいとの思いは、すでに勢力を増しつつあった軍部を勢いづかせ、国民の目を残された大陸・満州へと向けさせる勢力の台頭に拍車をかけた。

以上の部分は、(「対日経済封鎖」池田美智子・日本経済新聞社・平成4年)を参照した。

ボクの連載の動機も、鈴木敏明氏と全く同じだった。著者は、日本悪玉論を主張する<外国人>や<日本の知識人>への挑戦の書としているが、ボクは、中学校や高校の教科書でしか歴史を学んでいない人たちに是非読んでもらい、教科書の記述とどう違うのか発見して欲しいと思っている。 これを読まずして、中韓両国の反日史観に対し、まともな反論はできないと思うからだ。分厚い本だが、話し言葉で分かりやすく書いてある。碧天舎発行 1,500円。
by from76 | 2005-05-11 22:19 | 落日 日本
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