2015年 10月 10日 ( 1 )

講演会 『春画展 SHUNGA』 (2015/10/10)

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 ↓ 展覧会場《永青文庫》の正門
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10:30~12:00 永青文庫の隣り「和敬塾大講堂」での講演会「江戸文化と春画」に参加した。講師はテレビでおなじみの磯田道史氏(静岡文化芸術大学教授)と、早川聞多氏(国際日本文化研究センター名誉教授)で、抽選に当たった400名が出席した。なお、同時に申し込んだ『シンポウム』の方は、聴講券が届かないので落選・・・

前半は、「早川聞多氏による《浮世絵春画の特色とその展示法》」
サンプルをスライドで見せながら、以下の6項目について解説した。ただし、スライドの画面が小さくて・・・

 ①「表現法」絵と言葉の共鳴
  浮世絵春画はその大胆で華麗な描写により絵柄にのみ目を奪われがちだが、その真の面白さは、そこに書き込まれている「詞書「(絵の主題)や、「書き入れ」(登場人物の会話)を合わせ読むことによって面白さが増す。
 ②「舞台」庶民の老若男女の性風俗
  遊女と客の遊里風俗や好色の有閑階級の奔放な性の戯れであるように思われがちだが、その9割以上が一般庶民の性風俗である。
 ③「呼称」秘画ではなく笑い絵
  江戸時代には一般に「笑い絵」とか「枕絵」と呼ばれていた。
 ④「趣向」古典故事
  和漢の古典・故事をもじったものが多い。当時の庶民の識字率は世界に比較しても大変高く、変体仮名の読み書きはむろんのこと、さまざまな古典や故事を心得ていた者が多かった。
 ⑤「享受者」春画の愛好者は老若男女、貴賤を問わず
  現代では、主に男性の慰み物に過ぎないととられがちだが、江戸時代には老若男女、さらには貴賤を問わず、広く愛好されていた。
 ⑥「描法」男女の顔と性器を併置して同等の大きさと精緻さで書く
  江戸人の人間観(表裏一体)を暗示しているようだ。
   
次いで、「磯田道史講師の 「乃木静子『母の訓』 の書誌検討」

A4裏表プリントの 《乃木静子の母の訓》 について、下線部分の読みをまじえながら解説、聴衆の半数近くを占める女性の笑い声ばかりが耳に入った。大学(教授の大学は女性が過半数)の教材にもした由。

以下、《乃木静子の母の訓》から教授が下線を施した部分をピックアップした。

 <常の心得>

1. 女性は性順に礼儀正しく恥あるを淑徳と致候。淑徳なければ公家大名の姫君にても下素に異なることなく、下賎の卑女にても淑徳備 はり候へば、公家御大名の奥方とも仰がれ可申候。
御輿入れ後は、順をもって御心とあそばされ、何事に就きても、殿御に口を返し又は荒々しき挙動を、或はみだりがしき行為など夢あそばされまじく候。

2. 色を以て男につかふあるは妾のことにして、心を以て殿御につかふるは正妻の御務に候。故に御輿入先の殿如何に多くの妾おわしまし侯とも、色 を以て之を争ふなど、はしたなき御振舞あそばされまじく候。

3.奥方は気品髙きを良といたし候。去りながら気品高ければ情薄くなり、情濃やかなれば品格を失い、中庸を得ること時に六ケ敷候。・・・
  (中略)

 <閏の御慎の事>

5. 御色気薄きは情なし、情なければ御夫婦の御中睦からず、終には御家の滅亡とも相成申 べく候まま御色気に充分なるを可と致候。然れども色は乱れ易きものにして愛想をつかさるるは最も多く候故に閏中においては特に御淑徳を尊び順を以て助け、礼を以て乱を防ぎ、恥を以て色を補ふ事に侯。殿より如何に迫り給ふとも自ら進んで商ふ歌妓に等しみだらの御振る舞い必ずあそばされまじく候。

6. 用事終れば寝所を異にし給ふべし。寝所一つなればきっと愛想をつかさ申しべく候。

7. 閏中に入るときは必ず幾年の末までも、始めての如く恥かしき面色を忘れ給ふべからず。
狎れ恥かしき面色なければ、妾の如くなりてその品格を失ひ、用事済みて必ず殿御の心に嫌気起り 度重なるに従ひ、必ず愛想をつかされ申すべく 候。

8. 殿御はどなた様にても寵愛の増すに従ひて 種々なされ、枕辺に笑絵を開き之を眺め、または陰所に手を入れてさぐりなどし給ふことあり

かようの時、心がけ なき女性は、興に乗じあられもなき大口を開き、 或は自ら心を萌して息あらく鳴らし、恥もなき挙動をなさるる御方様もありとか申事に候。

従ひて殿御の用事にかかり給ふ時は、種々にして曲を尽くし充分に仕たく思ひ給ふが常なれども、 用終れば見るも嫌になる由申事にて心に下卑み申し候。

色は柔らかくして恥ずかしき内に味あるものにて、恥かしき面色ある程情深くなり申候故に殿御閨入り給ふ時は、必ず恥を含みて静かに入り、殿 御より興に乗じて種々嬲り給ふことありとも 荒々しく之を拒むは情を失ふを以て、只々殿御 の胸に顔を差入れて恥ずかしく思ひ給ふべし

又殿御用事にかかり給ひなば、殿御の胸に顔 を確かと差当て聢と抱きつき余り動かし給ふべからず。また 如何に心地好く耐りかね候とも、たわいなき事を云ひ、又は自分より口を吸ひ或は取りはづしたる声など出し給ふべからず。又殿御佳境に入り給ふには殿御より先に又は同時 に入り給ふべし。

殿御佳境に入り給へば如何に溢るる共耐へて、殿御の措き給ふときに止め給ふべし

9. 閨の用事終れば始末し給ふに紙の音など殿御の耳に入らぬ様心掛けらるべく候。用事終れば殿御の御心色に飽き給ふ時なるを以て、陰を現さぬよう様に意を用ひて静かに始末し給へば、品よく時に麗しきものにて候。

斯様のときには、海棠の雨に打たれし譬ひの如 くなるを可と致候。

10. 殿御の御寵愛勝れて昼も房に入れ給ふ事あ れども、無下に拒み給ふは情に背き給ふなり、 されば房事にても弥増して、一倍深く慎み給ひ如何に御心地宜しとも、襠(うちかけ)を解きたまふべからず。殿御佳境に入り給へば静にし厠に至り、始末 して其の帰るさに腰元に仰せず自ら御手拭を水に濡らして持ち帰り、跪いて顔を背け殿御に差上 げ給ふべし

<朝夕の心得>

11. 朝は必ず殿御に寝姿を見られ給ふべからず。
疾く起きて化粧を施した顔にて殿に会ひ給 ふべし
。殿御は毎朝麗しき莞爾たる奥方の顛を見給ひなば、其の日一日の苦難を忘れ給ふなり。

12. 晩に特に麗しくして殿御と御会食し給ふベし。斯く遊ばさば、妾を思ひ給ふ暇なく御身健 かに御運は妨げなかるべく候。
 (中略)
18. 御家大事ともならむ時は能く其心を鎮めて殿御に従ひ奉り、武門の習ひにて討死ともあらん時は女々しき御挙動なく潔く殿御と共に 御自害遊ばされ、末代の誉れを残し給ふべし。


最後に、この『母の訓』は小冊子となって、当時の花嫁に持たせたようだが、このオリジナルを詮索中に、古書店から、美濃半紙に毛筆書きで、同文の《尾張中納言奥方訓》を入手した。

だが、美濃半紙の中央に『滋賀郡農会』とあって、これまた写本のようだ。この書誌を探索中なので、お心当たりが有ればご協力願いたいと結んだ。

閉会時に司会者から、「ただいま会場は入場制限中です。できれば平日に、それも18時以降が空いています。」ということで、展覧会には入場せずに帰宅。それにしても、若い女性の多いのにビックリ・・・  

背後から「会場に入ったら別々に歩こうネ。チャチャ?を入れられそうだから・・・」と女性の声。別棟の物販コーナーも若い女性が過半数。世の中、すっかり変わった、と実感した次第。

 ↓ 展覧会場入口
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            《 春画 SHUNGA 》
by from76 | 2015-10-10 19:48 | アート | Comments(0)